1895年生まれのフレンチワークウエア “Le Travailleur Gallice” 1 魅惑のフレンチモールスキン

洋服のこと

 当社で取り扱いを初めて1シーズンが終了し、いよいよ2シーズン目の入荷が目前に迫ったフランス生まれのワークエア、Le Travailleur Galliceの紹介をしたいと思います。

フレンチブランドあるあるですが、このブランド名も読めないですねー。そして覚えられないですねー。フランス語の堪能な僕にとっては朝飯前ですが(嘘)。
ル・トラバイユール・ガリスと読みます。トラヴァイユールが「労働者、働き者」、ガリスはラテン語で「フランス」の事。さしずめ「働き者のフランス人」という感じでしょうか。実際にはあまり働き者のフランス人は見たことないですけど(笑)。ブランドのロゴはフランスの国鳥でもある鶏です。国鳥である鶏は色々なフランスのブランドで用いられていますね。ナポレオンは鶏をシンボルとしては好まなかったそうです。どうにも弱々しいイメージがあるから。なのでナポレオンの時代の国鳥は違う鳥みたいですね。余談ですが。

ブランドの歴史は古く、1895年創業のEtablissments Gallice社が手がけるワークウエアとなっています。フランスのワークウエア、特にそのシンボルであるモールスキンを用いて物作りをする(していた)ヴィンテージブランドは数多くありますが、その中でも屈指の古さではないでしょうか。アドルフ・ラフォンがもう少し古いですが、それに次ぐ歴史があるブランドかと思います。アドルフ・ラフォンはとっくにフランス生産を止めてしまいましたが、ガリスは今でもきちんとフランスで生産を行っております。

このブランドのアイコンの1つがモールスキンを用いたワークウエア。これに使われているモールスキンもこだわりのフランス製です。モールスキンはフランスを代表する生地の一つですが、今ではフランスで供給できるメーカーはとても限られています。数少ないサプライヤーにあっても、そのほとんどが生地は諸外国で機織りして染めだけフランスで…みたいなケースならまだ良い方で、どっかで作って持ってきただけ…みたいな場合もあります。じゃないと値段が合わないんですよね。フランス製の生地はとても高いです。

 トラヴァイユール・ガリスが目指すのは本物のワークウエアを現代に伝える事です。その実現の為に1867年創業の老舗生地屋とタッグを組み、当時のモールスキンを再現すべく研鑽を重ねています。 当然、生地も機織りから染色までをフランスで行っています。モールスキンを使用したラインナップを特別に「BLEU DE TRAVAIL」と呼び、生地作りから縫製までの全ての工程をフランス国内で行っています。
1867年創業の生地屋さん…という事は、今ヴィンテージ市場で出回っている40’s、50’sのリアルヴィンテージの中でも、この生地屋のモールスキンを使っていたところが少なからずあるだろう事が推測されます。機械のアップデート等が伴っているにしても、当時と変わらない場所、サプライヤーで作られた生地が時を超えて現代でも息づいている…そんな事に思いを馳せるととても感慨深いですね。。。

 ここで、話は前後しますが、「モールスキン」とはなんぞやという話をしたいと思います。
ヴィンテージ好きの人には説明不要ですが、moleskin(フランス語表記だとmoleskine)…モグラの皮に似た表情を持つ古の生地です。今のようなハイテク生地が無い時代、その耐久性と堅牢性から特に製鉄所で用いられるようになった筋金入りの労働着用の生地です。ヨーロッパのモールスキン、アメリカのデニムというイメージです。
モールスキンはいわゆるサテン織りです。その為表面に光沢感が表れます。フレンチモールスキンは綿糸を高密度に打ち込み機織りをします。その為とても重厚で張りのある生地になり、表面にわずかな光沢感をたずさえます。仕上がった生地は非常にタフで、まさにワークウエア!ガシガシと着込んでもらうと非常に良い経年変化が得られると思います。タフさだけで言えばデニムよりも丈夫かもしれないですね。
これとは別にブリスベンモスに代表されるようなブリティッシュモールスキンというものもあります。こちらのモールスキンはあまり打ち込みは強くせず、表裏の両面に起毛加工をするため、しっとり柔らかい風合いに仕上がります。起毛しているため、あまり光沢感も感じません。フランスのものと比べると随分と印象が変わりますね。さて、、、どちらがよりモグラ感が強いのでしょうか?生モグラを見たことがないのでわからないですが、写真で見る限りは光沢感で言えばフランス、毛並みで言えばイギリス…?まぁどっちでも良いですね。どちらも良い生地です。ただし、フレンチワークという切り口で言えば、やはりこの光沢感、そしてヘビーデューティーな風合いは必須のディテールです。

上の画像はLE TRAVAILLEUR GALLICEで用いられているブラックモールスキンです、かすかな光沢感が見て取れるかと思います。
ブラックモールスキンは特にヴィンテージ市場でも最近タマ数がめっきり減っており、程度の良い物を見つけるのが極めて難しくなってきました。そんな中で昔と変わらないクオリティーの物が新品で手に入るというのは嬉しい限りです。
今日はこだわりの生地について紹介させていただきました。まだまだ語り尽くせぬ部分が多いので次回に続きます!

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